概念のしっぽを掴め

穴掘りと抵抗

A10サイズの豆本(無線綴じ同人誌風)を作る

ちいちゃかわいい豆本を作りたいけど、印刷所に頼むとサイズがA8(52×74mm)程度まで…
もっと小さくA10サイズ(26×37mm)くらいのかわいさで豆本を作りたかったので、印刷は印刷所にお願いしつつ自分で製本しました。

完成の豆本たち

以下やったことまとめ&反省・改善ポイントです。作りたい方の参考になれば…!!!!

テンプレだけほしい人用

こちらです。

ざっくり手順

  1. 必要なものを確認する
  2. 所要時間や労力・費用が自分のやりたいことに見合うか検討する
  3. 足りないものがあれば買っておくか代替できるものを準備しておく
  4. 原稿つくる
  5. 印刷するまたはこだわりに応じて印刷所に頼む
  6. カットする
  7. 糊付けする
  8. 重石で挟みつつ乾くのを待つ
  9. 完成!

以上! 頑張れ!

使用したもの

★は今回費用発生したもの(持ってなかったので購入したもの、外部に作業発注したもの)。私の場合は4000円以内でできました。
ないものは適宜購入または代替してください。

<原稿作成時>

<印刷時>

  • ★印刷代・送料(私の場合は印刷所プリペラで合わせて3000円)

<製本時>

  • ★色上質紙(遊び紙用・中厚口A4。きっちりカットできればA4の1枚からA10サイズ64冊分できる。でもだいたいきっちりカットできないので1枚で50冊分くらいを見込む)
  • ペーパーカッター(ダイソーで660円のやつ)
  • 30cm定規(断裁時の位置合わせに使用)
  • 適度な厚みの定規など(表紙の背幅折る用)
  • ダブルクリップ(豆本のサイズより小さいもの。糊付け時に使う。1個でよい)
  • ボンド(こだわりないけど木工用の普通のやつ)
  • 爪楊枝(ボンドつけるのに使う)
  • 適当な紙(コピー用紙など。クリップの跡つかないように間に挟んだり、糊付け後にプレスするのに使う)
  • 重石になるもの(本など。糊付け後にプレスするのに使う)

手順(詳細)

1. 原稿作成

私は既刊同人誌(A5)のミニチュア を作りたかったので、元データを縮小して作成しました。以下はA5→A10の原稿作成手順です。
もちろん豆本用に新たにデータを作成するのでもOK!(その場合でもサイズなどは参考になるかと思います)

<原稿作成の大まかな手順>
※データを縮小する場合、縮小用にデータをコピーしてから作業を始めましょう。元データを上書きしないよう注意!
①A10サイズで各ページの原稿作成
②A5サイズの原稿に①で作成したページを配置

①A10サイズで各ページの原稿作成

使用ツール:CLIP STUDIO PAINT PRO(トンボつけれたらなんでもいいと思います)

<やったこと(ざっくり)>
次の(1)〜(6)を全ページ分やります。
(1) 画面解像度を変更(縮小)… A5→A10の倍率「0.17567」
(2) キャンバスサイズ変更 … 45×55mm
(3) トンボ設定 … 26×37mm、裁ち落とし幅「3mm」
(4) トーン線数変更 … 「80」
(5) 文字サイズ変更 … 基本「2.5」、最小「1.8」
(6) 画像を統合して書き出し … 「トンボ」「テキスト」にチェック、モノクロ

<やったこと(詳細)>
(1) 画面解像度を変更(縮小)
クリスタの「編集>画像解像度を変更」より、画像を縮小します。
倍率「0.17567」を指定することで、幅148mm→26mmに縮小できます。(高さは若干誤差が出ますが気にしないでいく)

縮小前
縮小後

(2) キャンバスサイズ変更
このあとトンボ設定をし直すのですが、裁ち落とし幅を含めたサイズにキャンバスサイズが足りないとトンボ設定ができないため、あらかじめキャンバスサイズを少し大きくしておきます。
クリスタの「編集>キャンバスサイズを変更」より、適当に余裕をもって「45×55m」くらいにしておく。

キャンバスサイズ

(3) トンボ設定
縮小したことによりトンボ設定が外れるので、クリスタの「表示>トンボ・基本枠の設定」より、あらためて設定します。
豆本用に新たに原稿を作成する方は、こちらのサイズを参考にされるとよいかと思います。
トンボ設定

(4) トーン線数変更
私の場合は元のサイズの同人誌のトーン線数が70だったのですが、原稿サイズ縮小に合わせてトーン線数も70→80に変更しました。

(5) 文字サイズ変更
縮小しても読めるようにしたかったので、フキダシに収まる範囲で文字サイズを少しずつ大きくしました。
基本のフォントサイズ「2.5」、最小で「1.8」にしています。「1.8」でギリ読めるか読めないかくらいでした。(フォントにもよるかと思いますが…)

参考に、トーン線数と文字サイズ調整後の印刷結果がこちらです。印刷に耐えうる範囲で適宜お好みで調整してください。

トーン線数80、文字サイズ「2.3~3.0」、源暎アンチックセザンヌ
文字サイズ「1.8」、せのびゴシック
表紙は解像度が350dpiなので、小さい文字は潰れてしまいました。
対策として、文字だけ二値化し直すとかするといいかもしれません。(でも試してないのでそれで上手くいくかは未知数)
表紙、解像度350dpi

(6) 画像を統合して書き出し
トンボ付きでレイヤー統合したいので、画像を統合して書き出しします。
クリスタの「ファイル>画像を統合して書き出し>.tif」を選択します。(tifにするのはなんとなく原稿ファイルつったらこれかなと思っただけなので、綺麗に書き出しできればpdfでもなんでもいいです)

書き出し設定

②A5サイズの原稿に①で作成したページを配置

各ページのA10サイズ原稿ができたら、実際に印刷するサイズの原稿に各ページを配置していきます。
今回利用した印刷所プリペラさんのA5モノクロ原稿のテンプレートに合わせて、豆本原稿用のテンプレートを作成したので置いておきます。
本文16ページ用に作成しているので、ページ数に合わせて適宜うまいこと調整してください!
A5豆本本文テンプレ.clip - Google ドライブ
A5豆本本文テンプレ.psd - Google ドライブ
印刷所プリペラの原稿テンプレートはこちら

配置例

表紙は縮小したやつの天地さえ合わせりゃいいかなと思ってるのでテンプレ特にないです。うまいことやって~

2. 印刷

今回、印刷所プリペラさんの「出すだけぱっく」を利用しました。印刷のみお願いして、製本作業は自分で行うものです。
※無線綴じ用に印刷する場合は+500円の断裁オプション必須(2022年7月時点)
pripela.com

できる方は自宅やコンビニで印刷しちゃってもいいかなと思います(その場合は豆本テンプレートのキャンバスサイズをB5(182×257mm)に調整するとよいかと思います。解像度ではなくキャンバスサイズ! 縮小しないように)。でも試してないので印刷結果がどうなるかはわかんないです!

印刷所プリペラさんで印刷する場合の注文内容はこんなかんじ。適宜お好きに!

注文内容
補足説明など…

  • 断裁について私は「天地のみ断裁」でお願いしたのですが、そんなにズレずに綺麗に断裁してもらえたので、もう「仕上がりで断裁」をしてもらったほうが自分でカットする手数が減って楽かなと思います。(でも塗り足し分3mmは本来ズレてもいいように想定するものなので、塗り足しの範囲でどれだけズレるかは自己責任で!)
  • 「出すだけぱっく」はデフォルトでは中綴じ用(1枚に見開き2ページ分)で印刷されますが、豆本作成用としては「無線綴じ製本用に単ページ印刷」をしてもらうのがベストかと思います。私はうっかりその指定をするのを漏らしたのでノド側がくっついてしまいました…。これの何が問題かというと、ページが隙間なく隣り合ってしまうとカットしたときに隣のページの端っこが写り込んでしまうんですよね…。幸いノド側なので目立ちませんでしたが、こだわる方は忘れずに備考欄で「無線綴じ製本用に単ページ印刷」を指定しましょう!

中綴じ用に印刷された場合

  • 豆本用に印刷してもらうのは、印刷所さん側の本来の想定とは違う用途かなと思うので、私は備考欄に念のため次のように書いてました。→「豆本作成のため印刷だけお願いしたいものです。納品いただいたものをさらに個人で断裁予定です。サイズが小さいため印刷ズレ等はある程度出るものと想定しておりますので、特別な配慮等はなく通常どおり作業していただければと思います。」まあ変に印刷所さん側に神経使わせずに済んだらいいなというおまじない程度です。別にいらんかも…

3. 製本

所要時間など

慌てず騒がずだらけずに2冊分(16ページ/冊)の断裁〜糊付けまでを行ってみたところ、約15分半かかりました。
8分/冊×50冊作るとして単純計算で6時間40分かかります。(実際には平日2日と休日1日の3日かけてできました)

あと腰とか肩とか痛めますのでご無理なきよう!
個人的には作業ゲーとか単純作業、工作好きな人ならやれるんじゃないかな〜と思います。私はピクロスが好きです。

①断裁

ダイソーのペーパーカッター(660円)を使って断裁していきます。
本文・表紙・遊び紙を仕上がりサイズでカット→製本します。製本後の断裁はしません。なぜならダイソーのペーパーカッターだと厚みに耐えられないので… やってみたのですがうまくいきませんでした。

<各断裁手順>
(1) 本文
まずは本文から!
どんな順番でカットしてもいいですが、個人的にこれがやりやすいかな〜と思う順番を以下説明します。

「無線綴じ製本用に単ページ印刷」+「仕上がりで断裁」で注文していれば、本文はこんな状態で届いているかと思います。

本文カット前
まずはノド側になる部分、A・B・Cのうち、A・Bをトンボに合わせてカットします。(上下のトンボが切れているため30cm定規を使ってカット位置をトンボに合わせる)
定規を使ってカット位置を合わせる
Cをカットするときはこれがそのまま仕上がりサイズになるので、トンボではなくペーパーカッターの目盛り26mmの位置に合わせてカットします。
26mmの位置でカット
aの下にb、cの下にdを重ねます。これでページ順になります。
2枚ずつまとめてカットします。(4枚まとめてカットするとカット後に紙の端が曲がるのが目立つので、まとめてカットするのは2枚までにしました。)
2枚ずつ重ねる
a・bについて、高さ37mmの位置でカット→幅26mmでカット→後ろのページを上にして重ねます。
c・dも同様にします。(dはすでに幅26mmにカット済のため、幅のカットはcのみ行います)
目盛りに合わせて仕上がりサイズでカット→後ろのページを上にして重ねる
次にa・bをカットする際には上部に余分があるので、トンボに合わせてカットします。その後は先程と同様に、仕上がりサイズで高さ・幅をカット→後ろのページを上にして重ねます。
c・dも同様にします。
トンボに合わせてカット
これで1冊分の本文ができました。
1冊できた(9月のオンリーで発行予定ですたのしみだね)

(2) 表紙
次はなんかうまいこと印刷したはずの表紙です。

失敗したとき用にいっぱい並べている
幅はまだ余裕を持っておいて、高さだけ仕上がりサイズ37mmにカットします。
天地いずれかをトンボに合わせてカットした後、高さ37mmでカットします。
トンボに合わせてカット→仕上がりの高さでカット
なんかいいかんじに背幅に合いそうな厚みの何かを用意します。いいかんじの定規がありました。
ちょうどよきもの
こいつを背幅に沿わせて折るのじゃ
折りしもの
表紙を折った状態で、26mmより気持ち大きいかなくらいのところでカットします。
ちょっとだけ目盛り越えるくらい
本文と合体させてみて、サイズ合ってるかなを確認します。
これで表紙ができました。
サイズが合っているようす

(3) 遊び紙
遊び紙もつける場合は、遊び紙用の紙を単純に仕上がりサイズ(26×37mm)でカットしておきます。

この写真撮るまでに紙を使い切ったので実際とは違う色です
これで断裁は完了です。あと少し!

②製本

製本方法はこちらを参考にしました。
blog.bestprints.biz
このページを読めばできると思いますが、こちらでやった過程も載せておきます。

小口側(読むときに開くほう)を揃えてクリップで挟む
ノド側に木工用ボンドを爪楊枝でつける
合体!
紙で挟んで上に本などを乗せて乾くのを待つ

完成!

乾いたら完成! 完成品がこちらです。

完成の豆本たち
drive.google.com
わ~~~~~いA10サイズちいちゃくてかわいい! これが欲しかった!
並べて眺めて楽しむことができるのは作った人の特権ですね!
お疲れ様でした!!!!!!!!

おまけ(宣伝)

この豆本は、comicoで連載していた漫画「マジカルゴ」の二次創作同人誌を豆本化したものです。
マジカルゴはすでに完結していますし… ギャグが強いし… 絵がめちゃくちゃかわいいし… キャラクターの人間味の解像度が高いし… 様子がおかしい漫画がツボな人には妖精たちの感性はたまらんだろうし… 魔族のわくわくいがみ合いはとても楽しくかわいいし… 内輪揉めばっかしてるし… かわいいし… 私に刺さるひねくれボーイがいるし…

マジカルゴ - comico
よろしくお願いします。